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『京風ニキータ 女スパイ 由紀子』 安藤尋
 何故に女スパイが京都弁を話すのか、何故に魚の体内にトランシーバーが埋め込まれているのか、などと少しばかり沸いてくる疑問については、それらは単なる捨て身のギャグに過ぎぬのだろう、と述べて済ますこととして、やはり『京風ニキータ女スパイ由紀子』で問題となるのは部屋の中に人物がわずか二人しかいないことである(※注1)。
 しかしながら『京風ニキータ』の登場人物が女スパイとその夫の二人だけであっても大丈夫、平気、全然気にならない。ついでに照明の量が足らないため、室内の蛍光灯の光のせいで画面が少し緑色になっていても、大した問題ではない。『blue』以来、安藤尋が拘って描き続けるのは、たった二人の人物のシンプルな関係性の変化なのだ。
 『京風ニキータ』でひっかかるのは、女スパイが開き直って正体を明らかにする場面である。何故に彼女は「ハハハハハ」と笑いを保ちながらわざわざ冷蔵庫に行き、そこで赤い靴下を身に付ける必要があるのか。すぐに正体を晒すのではなく、そこで何故にワンテンポの間が入るのか。そして、京風のおっとりとした女性から、べらんめえ口調の野放図な女スパイに変身するためのアイテムの赤い靴下とは、ホントに必要だったのか。
 無意味とも思えるこの行為は、実は安藤尋作品の女性にとってなくてはならぬものなのだ。『pierce』での主役の女性のマリオがピアスを刺したように、『blue』での市川実日子が少女から画家に変身するときに水道のホースで頭から水をかぶったように、『ココロとカラダ』でのが、マゾの女へと変身するときに浴室でシャワーの水をかぶったように、安藤尋作品の女性達は決意を胸に秘めたとき、その身に何がしかの準備を施さなければならないのだ。 これを変身のための儀式と呼ぼう。やっぱりあの赤い靴下は必要だったのだ。

※注1: 部屋の中にたった二人の人物を配し、彼らの関係性の変化をじーっと撮影するジャ・ジャンクーという恐るべき映画監督が中国にいる。

テーマ:邦画 - ジャンル:映画

【2006/01/12 10:58 】 | 映画監督 安藤尋 | コメント(0) | トラックバック(0) | page top↑
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