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『むち打たれる者 ドキュメント輪廻』『オープンスペースを求めて』『阿呆船 さかしまの巡礼』
 心斎橋のカフェ裏CO2にてドキュメンタリー特集上映を鑑賞。
 ベトナム反戦運動の頃に大阪で撮られた滅多に観ることのできない貴重なドキュメンタリーを観た。唐浩郎という御方はCO2の元締めをされておられる御方らしいが僕は良く知りません。ドキュメンタリーのジャンルに収まりのつかないエキサイティングな映画でした。

『むち打たれるもの』
 「構図に拘らずに撮りました」などという、唐弘雄監督の言葉をやすやすと信じてはならない。映画の冒頭、プラカードを持ったデモの男が急斜面をこちらに向かって歩いてくる。と、斜面に隠れた背後から自動車が姿をぬっと現して追突する。ばっちり構図決まっている。
 このドキュメンタリーの企画意図からすると、鞭打ち症患者の救済運動を世論から呼び込むような内容に仕上げるべきだと思うのだが、全然そうなっていないのが凄い。鞭打ち症患者はカメラの前で裸形をさらされるのだ。
 一切の感情移入を拒むカメラは鞭打ち症患者のありのままの姿を捉え続ける。顔の汗、虫歯を治した金歯、症状について喋る彼らの肉体がフィルムに克明に焼き付けられている。
 外界から隔絶した孤独な車内でマイクを向けられると、日頃仕事で使い慣れたタクシーも彼らの裸形を際立たせるための装置だ。タクシーの窓越しのインタビュー風景を、わざわざもう一台の別カメラを用意して撮影したりして、唐浩郎氏のドキュメンタリーの作法は徹底して引きの姿勢である。
 凄いなぁと思いつつも、これはカメラによる暴力なのではないかという疑念ももたげてくる。取材拒否の家庭の家の玄関で、「カメラは撮ってませんから、これは持ってるだけですから」。ってそんな映像を使用しても良いのかしら。
 社会運動の熱狂に乗っかろうとはしない、という頑とした意思は見受けられる。怪しげな整体師、精神科医、外科医、どこかの労働組合だか協会だかの局長、その他もろもろの立場がそれぞれに好き勝手なことを言うが、事態は何も進展の気配を見せない。ただ、鞭打ち症患者のブルブルとした体の震えが、観る者の心の何かに触れるか、それとも触れないか、という際どい勝負にかけている。

『オープンスペースを求めて』
 建設中のビルや高速道路が画面に映っているだけで、観る者を興奮させてしまう、という稀有な映画。ビル建設の努力、苦労などは全く伝わってこない。けたたましい映像の連打。上手く言えないが面白かった。
 ビル建設の様子が、植物の育つ様子を捉えて続けているような感覚に似ている気もしてきた。もしくは神の視点で下界の混沌を眺めているかのような感じ、と言ったら良いだろうか。
 観ていてびっくりしたのは、居るはずの建設作業員が画面に映らないことだ。完成したビルの全フロアに照明が灯される。だが人の姿はどこにも見当たらない。ひょっとすると彼らが作り上げたのは廃墟だったのだろうか。
 だとすると、完成後に、またいつの日か崩れるときがやってくる。ビルは着工から完成までの過程と、完成から着工への逆過程がコマ撮りで反復される。
 「大勢の市民が利用できるプロメナードになる」などと言いつつも、そのプロメナードなる場所に登場するのはたった一人の女性。なにやら寒々しい光景だ。
 ビル建設の物質的なフォルムに魅了されてしまった。あと「オープン、スペース、オープン、スペース・・・ヒューマン」と呪文のように繰り返される音楽にも。

『阿呆船 さかしまの巡礼』
 わかる人にはわかるのでしょうが、維新派の演劇は僕にはよく理解できていません。彼らのグロテスクな様子を観ていると、思わず『江戸川乱歩の恐怖奇怪人間』が頭をよぎってしまう私はイケナイ人間なのでしょう。すみません。
 がしかし、ここでも唐浩郎監督はドキュメンタリーの主体である演劇の舞台と寄り添い続けることをしない。ふとカメラが芝居小屋から離れると、すぐ隣で大都会が拡がっているという落差がつけられている。

テーマ:映画感想 - ジャンル:映画

【2007/02/05 23:34 】 | CO2 | コメント(0) | トラックバック(2) | page top↑
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『阿呆船』とは
阿呆船『阿呆船』(あほうせん) ''Das Narrenschiff'' は、15世紀のドイツ作家セバスチャン・ブラントによって書かれた諷刺文学である。1494年にバーゼルで刊行された。1497年にはラテン語訳も刊行され、その後英語、フランス語、オランダ語など各言語に翻訳されて16世紀ヨ 船ちゃん!(せんちゃん)【2007/02/09 00:03】
『阿呆船』とは
阿呆船『阿呆船』(あほうせん) ''Das Narrenschiff'' は、15世紀のドイツ作家セバスチャン・ブラントによって書かれた諷刺文学である。1494年にバーゼルで刊行された。1497年にはラテン語訳も刊行され、その後英語、フランス語、オランダ語など各言語に翻訳されて16世紀ヨ 船ちゃん!(せんちゃん)【2007/02/10 04:34】
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