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『僕は妹に恋をする』
 初日に観て来ました。『僕は妹に恋をする』は実に痛ましい物語だった。以下、第一印象を勢いだけで、一気に書きます。↓↓↓
※文章があまりにもひどかったので修正しました(1月22日)。

■3人目の双子
bokuimo1.jpg 物語の時間軸が数年間にわたる『blue』や『ココロとカラダ』と違い、『僕は妹に恋をする』には一組の男女の頼(松本潤)と郁(榮倉奈々)に生じた変化の過程が1~2週間のごく短期間内に凝縮されている。
 『blue』以来の作法として髪を染める高校生は存在せず、男女を問わず学生は全て黒髪であり、黒髪と黒ネクタイを白い制服にいっそう映えさせながら『僕は妹に恋をする』の若者達は安藤尋の抑制の美学に収まっている。
 痛ましく受苦的な表情を顔面に湛えた榮倉奈々が素晴らしいのは言うまでもないが、それにしても彼女の身長が他の女子高生の誰よりも高く、相手役の松本潤と隣り合った場合に両者の身長がほとんど同じ背丈に並ぶという事態をどう捉えるべきだろうか。
 大袈裟なメイクもなされず、女の子らしい小道具(例えば髪飾りや指輪といったような)を廃した榮倉奈々は見ようによっては男子にも見え、懊悩する松本潤の方が女性的な色気を放っている。
 『blue』と『ココロとカラダ』がそうであったように、そもそも安藤尋監督が描いてきた”恋愛関係”は男女間に収まりのつくものではない。頼と郁が互いに抱く感情は、かつて二人は一心同体だったというところから来るものである。安藤尋監督が拘るのは、恋愛に似ながら、恋愛を超えた、特別の関係であったはずだ。
 ここに矢野君(平岡祐太)の存在が浮上する。
 彼は本当に郁を好きなのか・・・。頼が郁を好だから、自分も彼女のことが好き、みたいな。彼の内面は空虚ではあるまいか?
 常に頼の傍らに寄り添いながら、郁と積極的に三角関係を形成するでもなく、男同士の携帯の写真を見てにやけたりもする、とらえどころのない矢野という男が『僕は妹に恋をする』の鍵を密かに握っている。
 ラスト近くの場面。郁と楠木に去られて頼が屋上に一人取り残される。『blue』の市川実日子ならばすぐに小西真奈美の後を追ったが、『僕は妹に恋をする』の頼はどうすることもできない。彼の背中を押すのは矢野君だ。
 矢野君が頼に近づく。二人は終始、目を合わさない。自問自答のように一方的に頼が発する言葉に合わせ律儀に矢野君が言葉を返すので、会話が不思議にも成立してしまっている。
 この場面の両者の去り際で、彼らは合わせ鏡のように互いに背を向けて立つ。ホモセクシャルと決め付けるには早い。ややっ、彼こそ精神的に連帯した3人目の双子だったのではないか。

■暗闇に包まれた校舎
bokuimo2.jpg それにしても大胆な画面だった。学校の廊下や放課後の教室は本当に暗かった。こうも画面の暗い映画はそうお目にかかれない。フィルムの感度の限界に挑戦しているような凄い映画だ。役者の顔に光が当たらなくて、顔が真っ暗という事態はそこかしこに生じている。凄いぞ鈴木一博さん。多分、スタッフは不安で仕方なかったと思う。ちゃんと写っているのか?、みたいな(笑)。
 がしかし、最後に頼と郁が約束の場所に来る場面では晴天であり、明るさに包まれた光景であった。二人は決して結ばれることは無いということが明白になったとき、頼と郁は残酷なまでに明るい風景に取り囲まれている。
 郁と友達が「補修の授業が最悪だよ」などと言いながら廊下を歩く場面で、後退撮影のカメラの車輪が電気コードか何かの障害物に当たってガタっとカメラが一瞬だけ揺れた。電線みたいなものが何故に廊下のあんなところに走っていたのでしょうか。
 あと頼と楠がラブホテルの一室に居る場面で、広角カメラなので、ベッドに横たわる楠の姿が平面的でべちゃっとしていたかな・・・。
 いや、別にどうでもいいことです。しょうもないこと書いてすみません。

■体内回帰願望?
bokuimo3.jpg 『僕は妹に恋をする』には安藤尋印のが出てこないという事態をどう考えるか? 『ZOO』での動物園という設定でさえ、ちっとも動物園らしく見えず、森の中に男女が迷い込んだような印象だったというのに。
 『僕は妹に恋をする』では、今までの安藤尋作品で見られた森の迷路あるいは海の開放空間というものがどこにもなく、劇中人物は「世界中で二人きりみたいだね」という言葉通りに、空間がぽかんと広く、それでいて閉鎖的な空間に身を置く。
 学校が舞台とはいえ学生が教室で勉強する場面はほとんど見受けられない(諏訪太郎が英語教師役!)。 安藤尋監督にとっての学校とは、誰も人のやって来ない屋上であり、誰にも見えない場所に位置する体育館の2階であり、誰にも邪魔されない理科室であり、ひとりぼっちの放課後の教室である。
 頼と郁が結ばれる極端な長回しの場面を見よ。役者の顔の表情が辛うじて判別できるかどうかという暗闇の深さと、異常に狭苦しい空間はいったい何なのか。彼らは母親の胎内に居るのではなかろうか。
 母親の胎内にいるかのような錯覚は学校にも波及してゆく。夕闇に包まれる放課後の教室を見てみよう。全ての窓がカーテンで塞がれているので外界とは遮断されている印象が強いが、それでいて夕闇の暖色系のうっすらとした光により教室内は、母性的な温かみに包まれている。
 先に帰った郁を追いかけて頼が教室に駆け込む場面。放課後という設定なのに何故か教室の窓が全て開いていて、びらびらとカーテンが風に揺れる。
 『blue』の小西真奈美と同じポーズで身をかがめながら、楠(小松彩夏)が頼に口付けする。この風が『blue』で市川実日子と小西真奈美がキスする場面の海辺で吹いていたものと同じものだと気づくと感動的だが、楠と頼の二人の顔は真っ暗でよく見えない。そこが『blue』との違いだ。
 母親の胎内で起こることは二人だけの秘密なのであり、第三者の踏み込む余地はないのである。

テーマ:映画感想 - ジャンル:映画

【2007/01/22 01:51 】 | 映画監督 安藤尋 | コメント(0) | トラックバック(7) | page top↑
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