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『四月の雪』 ホ・ジノ
sigatu 『四月の雪』はホン・サンスの前2作と比べて、映像の文体が大きく異なっていたので戸惑いました。アップもありズームもあり。また今回はカット尻が短い場面が多いように感じました。
 象徴的なのはぺ・ヨンジュンとソン・イェジンが酒を飲みながら「私達不倫しましょうか?」という言う場面。きっちりリパースショットで互いを撮っていました。『八月のクリスマス』や『春の日は過ぎゆく』などではイ・ヨンエとユ・ジテの恋人同士の二人を絶対に切り返して撮るものか、他の凡百の恋愛映画とは志が違うのだ、という気迫のようなものも画面から感じられたような気がします。ホ・ジノ監督も新たな境地に立ったのでしょうか。これを進歩とみるか、後退ととるか、人によって見方が別れるかもしれませんね。
●停留
 『八月のクリスマス』は主人公のハン・ソッキュがバイクに乗ってあちこち出歩き、またヒロインも駐車違反の取締りのために街のあちこちに繰り出します。『春の日は過ぎゆく』はユ・ジテが録音のために林や川に出かけ、またイ・ヨンエとユ・ジテの住宅が離れているという設定のため、タクシーや車で遠くまで会いに行かなければならなかった。彼らの頻繁な外出が映画にリズムを与えていたが、『四月の雪』ではぺ・ヨンジュンとソン・イェジンは病室とホテルに篭もることが多いため窮屈な感があり、ホン・サンス独特の映画のリズムがなくなっている。
 しかし事故の被害者に会うために二人で田舎に赴く場面はやっぱり優れていた。特に夕刻の帰り道が凄い。ソン・イェジンが車から出て道端にうずくまって泣き出す。たまらずぺ・ヨンジュンも車外に出る。そして次のカットに変わると周囲がだいぶ暗くなっている。二人は何十分、或いは何時間もの間、片田舎の道端で、ずっと佇んでいたのだろうな、と推測できる。彼らの受けた傷が、日没の光の落ち具合から見て取れる、時間推移で表現されていたのが凄かった。

●時間経過
 前の場面と次の場面で、どれくらい時間が経っていたのか今ひとつはっきりしない。冒頭の病室の場面では、二人は厚着をしていて(因みに二人とも黒い服装なので喪服に見える)、物語が進むにつれて、少しずつ着衣が薄くなっていくことから、春が近づいてきたと判りますが。二人が親密になるまでに要した時間が、どのくらいだったのかよく分からない。要するに、越えてはいけない一線を、あっさりと超えてしまったような気がした。もっと背徳感がなくても良いのか。儒教社会と言われる韓国では、二人の行いはもっと勇気が要ることだとも思うのだが。

●内省的
 とはいえ『四月の雪』は主人公の内面にとことん迫る映画なのかもしれない。『四月の雪』はぺ・ヨンジュンとソン・イェジンの二人だけに焦点が絞られて物語が進められる。過去のホ・ジノ映画では友人や家族(全2作では特におばあちゃんの存在が大きい)にまで、描写の枝葉が伸びていったが、『四月の雪』ではぺ・ヨンジュンとソン・イェジンの二人だけに絞られています。昏睡状態の妻や夫にカメラを向けなくても良いものだろうか。
 結局ラストは宙吊りのまま終わる。答えは観客ひとりひとりの心の中で見つけてください的な終わり方。うーん、どうだろう。昏睡状態の相手が目を覚ます → ダブル不倫が親戚一同に発覚する → 世間の非難と白眼視に晒される → さあ二人はどうする?、というところからが物語の真のスタートかな、と思うのですが、そうはしないところが、この映画の特徴に思います。
 コップにいっぱい注がれた水が、今にも溢れそうだが、表面張力で保っている様子をじっと見つめているような映画、に思えた。

テーマ:韓国映画 - ジャンル:映画

【2006/01/11 10:47 】 | 韓国映画 | コメント(0) | トラックバック(1) | page top↑
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四月の雪 完全版
一昨年公開されたものに未公開シーンをくっつけたもの。ラストが違うので、完全版というよりアナザーバージョンといったほうがいいんじゃない?こちらは、妻が退院して、ペは妻と別れてイェジンのところへ行ってめでたし(?)で終わっています。 とにかく長い... 韓国映画好き【2007/05/05 07:10】
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