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ミヒャエル・ハネケ映画祭
 京都みなみ会館まで、残暑が厳しい中、ミヒャエル・ハネケ映画祭に行ってきました。しかし盆地だけあって京都はホント暑かった。劇場内の湿度計が80%を示していてビックリしました。(@_@)
 今までハネケ監督をよく知らず、そんなに怖い映画を撮る人がおられるのですか?程度の認識だったのですが、今回の特集を観てだいぶ考えが変わりました。
 とはいえ、私はヨーロッパのブルジョワ階級の苦悩というものは、よく知りませんので、正確に理解していないかもしれません。ハネケ映画は”家族のあり方”と”暴力批判・戦争反対”の2本立てがメインと単純に考えています。(多分違ってると思います、すみません)

『セブンス・コンチネント』
セブンスコンチネント

 ブレッソンなどという固有名詞を思わず出したくなるような、審美的な映画だった。
6時きっかりの起床、歯磨き、娘を寝床から起こす、出勤するという日常を繰り返し描きながら、最後に一家がクラッシュします。
 祖母の死をきっかけに、伯父が精神を病み、父親と母親も大変な時期があった、という背景の説明みたいなものもあるんですが、それにしても厭世観が漂っているように見えました。家族の自死といっても、悲しみや絶望に打たれるのではなく、乱暴に言ってしまうと、「いち抜けた。あとはよろしく」みたいな投げやりな虚無を感じる。
 一家が死ぬというのならば、親は死ぬが子供だけ助かって、希望が残る、というパターンが多いと思うのですが、ハネケの場合、真っ先に子供が死ぬという(汗)。そういや『ファニーゲーム』でも子供が最初に殺されてましたね。
 自殺の映画なら他にもあり、そのパターンも色々あるのですが、『セブンス・コンチネント』の場合、自分達をかたちづくってきた物質を全て破壊してから死ぬ、と。彼らは壊れた残骸を撒き散らすことに、こだわるのです。むむむ、そういう考え方もあるんですか。恐れ入りました。でもテレビだけは最後まで壊さないんですよね(笑)。

『ベニーズ・ビデオ』
ベニーズビデオ

 ハネケ監督には珍しく血まみれの死体が出てきます。もっとも惨劇はビデオ画面の左端の方で起こっていて、はっきり写してませんが。
 いや、そのチラリズムが怖いのかも。
 私は今ひとつ消化不良です。殺人を犯した子供に対して、どうすればよいのか、親が苦悩する映画だと思うのですが、母と子供がエジプトに居る場面に長々と時間が割かれます。
 その間、後始末をしている父親の苦悩ぶりに、どうして焦点を合わせないのでしょう。そのあたりにハネケ監督の何らかの狙いがきっとあるのかもしれません。
 子供が帰ってきたら、部屋はきれいに片付いているという。最後まで子供の視点で押し通すのですね。「詰まるからできるだけ細切れにした方が良い」などと言い出だす父親よりも、自首する子供の方がちょっとは正常なのかもしれません。

『71 フラグメンツ』
71フラグメンツ

 この映画がハネケでは一番気に入りました。『恐怖分子』(揚徳昌)に匹敵する素晴らしい群像劇でした。十字架のジグソーパズルが暗示しているように、難民の少年、卓球選手、養子を貰う家族など、それぞれの構成要素が並行して描かれます。神も仏もあったもんじゃないハネケ映画にしては、切実な「祈り」の場面があって、それが十字架とつながっているのでしょうか。
 卓球選手がピンポン球を打ち続ける場面から、私はのめり込みました。あと「孫娘に代われ」などと言って、長電話をするおじいちゃんの場面も惹かれました。
 ヒズボラやレバノンの戦闘のニュースにはデジャブ感があります。この10年ちょっとの間、ヨーロッパでは絶え間なく紛争が継続しているのですね。日本に生まれてつくづくラッキーでした。アメリカが悪い、というほのめかしもM・ジャクソンを引き合いに出してなされます。
 最後の銃撃の場面。ああ、そこはワンカットでやるのか、と感心しました。お金を集配に来た警備員の後姿を舐めつつ、そのまま奥の方から男が来て銃撃が始まります。極めて即物的で、うわ始まった、という描写になっています。
 しかも着弾点を撮らない。ハリウッド映画なら、銀行全体をまず俯瞰で捉えたり、或いは銃撃犯の見た目のショットを親切に入れたりすると思います。銃撃描写が即物的なのですから、即物的な死体をゴロリと転がしても不思議ではないのですが、体の一部分を写すだけであり、作家性の署名が押されています。ハネケ監督は上品なのですね。

テーマ:映画感想 - ジャンル:映画

【2006/09/11 00:21 】 | ヨーロッパ映画 | コメント(0) | トラックバック(0) | page top↑
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