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『グエムル 漢江の怪物』
グエムル2 ブラックコメディでした。まともにはやっていない。不謹慎な笑いの要素が随所にみられる(特に葬式の場面)。娘の奪還という誰にも分かりやすい直線のドラマに持っていくのではなく”すかし”や”ずらし”が多用されている。
 ここぞという場面のスローモーションは、いつもながら見事に決まる(特にラストは、ほとんど全部スローモーションだ)。
 ポン・ジュノ監督の作劇を支えるものは「追走」と「逃走」のドラマだ。『ほえる犬は噛まない』のぺ・ドゥナが走り回っても真犯人が分からないように、 『殺人の追憶』の刑事達が容疑者を間違って逮捕し続けるように、『グエムル』の家族がいくら探し回っても、娘の居場所にたどり着けるはずがない。
 目的に近づきたくても近づけず、無駄走りが引き伸ばされる過程で新たな側面が顔を見せ、別のドラマに横滑りしてゆく。いつものポン・ジュノ監督の作法は怪物映画であろうとも健在だ。

 グエムルは大して凶暴に暴れ回らない。エイリアンやプレデターのように明確な敵意をもって人を攻撃するのではなく、捕食のために人間を襲うという、怪物ではなく生物の扱いである。(特に前半の襲撃の場面では、動物園から凶暴な野生動物が逃げ出して人々がパニックになっているような感じ。)
 被害者の家族が逆に怪物扱いされ、当局に手配されて世間を敵に回す、というずらし方は優れた着想だ。そして世間の無自覚な差別意識、在韓アメリカ軍への異議申し立て、学生紛争への言及という方向にずれてゆくのですが、スムーズに流れていったかどうか。どうでしょう?。

 ラストに最大の肩すかしが観る者を待ち受ける。「娘を救出する物語」から「怪物を退治する物語」に急にシフトする。家族にとって重要なのは娘の生死だったはずで、怪物退治は軍隊に任せておいてもよい話だ。しかも怪物への復讐に執念を燃やしていた父親はいない。
 兄弟は娘の死に立ち会って、どうしてもっと悲しまないのだろう?
 葬式の場面では大げさに嘆き悲しんでいたのに(ギャグと紙一重ですが。この場面でポン・ジュノ印の飛び蹴りも出ます)。父親と娘を同時に失った兄弟の怨念が、もっとグムエルに向けられても良いと思うが、敢えてそうはせず、怪物を退治しても大きなカタルシスは生じないようになっている。

 このずらしかたこそがポン・ジュノの持ち味だ。
 後に残るのは、世間の白眼視を受けた男と、世間から仲間はずれにされた子供の孤独な魂だ。彼らは親子関係に収まっている。TVを消す。そんなものはどうでもよい。どうせ偏見に満ちた間違いだらけの情報しか流さないから。
 それよか目の前の幸せを実感できるかが大切だろ、とポン・ジュノは問いかける。

 余談ですが、
 「生き残った方が人類の敵だ」(『ゴジラ対ビオランテ』)みたいに、世間から孤立した怪物の長兄(ソ・ガンホ)と生態系からはみ出た怪物のグエムルの、はみ出し者同士が最後に一騎打ちで勝負を決める、みたいな展開を思わず期待してしまった。(勝った方にさらなる孤立が降りかかるという哀しい物語)。

テーマ:韓国映画 - ジャンル:映画

【2006/09/05 00:41 】 | 韓国映画 | コメント(0) | トラックバック(5) | page top↑
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グエムル -漢江の怪物-/ソン・ガンホ、パク・ヘイル、ペ・ドゥナ、ピョン・ヒボン、コ・アソン
面白かったァ。けっこう序盤から笑えたんだけど客席の反応イマイチなんですよ。自分だけウケてるみたいなとこもあって戸惑ったんだけど笑うの遠慮してると楽しめないので開き直りましたけど、もしかしてみなさんビミョーなの?+++ちょいあらすじ カノンな日々【2006/09/06 01:00】
『グエムル~韓江の怪物~』/ソン・ガンホ 、ピョン・ヒボン 、パク・ヘイル 、ペ・ドゥナ 、コ・アソン
面白かった~~~~怖いんだけど笑っちゃう、怪獣映画のようで家族愛や環境汚染への警鐘をを描いた映画かな。現在韓国で大ヒット中の映画を同じ時期に日本でも見られるっていうのがウレシイではないですか。 雲のゆくえ【2006/09/06 01:53】
「グエムル 漢江の怪物」 頭イテ~~~(笑)
まず言っておきたいこと。てれすどん2号が梅田三番街シネマで映画観終わった後、頭がイタイ。久しぶりに大学の体育の授業、バスケで走り回ったからかな(笑)、それともこの映画のせい!?(笑)とにかく、この映画の感想をひとことで言うと、頭イタくなる映画ってゆっても 長江将史~てれすどん2号 まだ見ぬ未来へ【2007/04/14 00:11】
No236「グエムル ―漢江(ハンガン)の怪物―」~パク家族の底力~
頭、逃げまどう人たちを追いかけて、漢江の河原を走っていくグエムルの全姿が映し出される。正直言って、怖いというよりは、少しつくりものっぽくて、その形はユニークにさえ思えた。むしろグエムルに驚き、脅える人たちの姿。写真にもあるように、少女の、脅える暇もない、 パラパラ映画手帖【2007/04/15 02:28】
グェムル 漢江の怪物
ようやく観てきました。おもしろかったです。 私は怪獣やパニック映画には全く興味が無く、『ゴジラ』や『ガメラ』なども一切見たことありません。 怪獣映画といえどもポン・ジュノ監督、普通の怪獣映画を撮るはずはない!と楽しみにしてたのですよ。やはりポン・... 韓国映画好き【2007/04/15 06:26】
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