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『ランド・オブ・プレンティ』 ヴィム・ヴェンダース
land2 すみません。ヴェンダース作品を観るのは本作が初めてです。勉強不足甚だしいのですが、『ランド・オブ・プレンティ』は良かったです。観ているこちらが頑張れと言いたくなる映画。ゴダールは学生に講義するとき、映画スターの写真を並べるという人を食ったやりかたをしているのに、ヴェンダースは牧師さんに説教させるのですよ。なんて誠実なんでしょう。話せばわかる、みたいな。何故かこの種のセンスには惹かれます。
●伯父のポール
 主演の二人のキャラクターが怪しい。伯父のポールは右翼的な人たちを、強引にカリカルチャアした道化役のようですが、しかし9.11以降のアメリカを問うとき、今どきベトナム帰還兵を持ち出してくるのか。ベトナム戦争の頃から今日までアメリカは間違い続けているというメッセージがあるのか、そのあたりは良く分かりませんが、ポール伯父さんは演説中のジョージ・ブッシュの頭を叩いたりもするのだ。
 ポール伯父さんはパキスタン人のホームレスを危険人物と思い込んでいるにしても、ただ彼のあとを尾行するだけ。あいつがテロリストの手先に違いない、怪しい!って思うのだったら、さっさとそいつを捕まえて尋問したら良いじゃないですか。ゴミ箱を漁ったところで核心に近づいているとは到底思えん。
 工場に潜入して、ブルーシートにくるまれた物体を発見しては、「小型の潜水艇の可能性がある」ってそんなに気になるなら、カバーを外して中身を確認してみたら?、と思っちゃうのだが。というかパキスタン人の彼がテロリストであってくれない困るのだ。敵を見失ったときポール伯父さんも存在意義を見失う。

●娘のラナ
 娘役のラナにしてみても、「イデオロギーの人」なのか、それとも「宗教の人」なのかイマイチ輪郭がはっきりしない。左翼思想家の娘ということ設定になってはいるが、彼女の口から思想的な言葉が漏れることは劇中一度もない。さらに付け加えて、牧師の娘という設定でもあり、一応、神を拠り所にしてるようだが(十字架のネックレスを常に着用)、神と私の一人芝居を寝室で演じる場面からも推測するに、神の不在にもわりと自覚的なようだ。神のお導きのままに、ではなくちゃんと自分の意思で動いている。
 彼女は国家やらイデオロギーやらの思想に囚われない。「犠牲者は報復を望んでいないはずよ」ってそこまで言い切っていいものか、という感じもするが、要するに彼女はヴェンダースがアメリカに放った使徒なのではあるまいか。アメリカ人の右翼的な心の武装解除をさせるために。
 全てが落着した後、ポールとラナが向き合って、9.11の同時テロが起きたときに彼らの胸に去来した心情を互いに吐露し合う場面。この場面でのポール伯父さんの、今までとは別人のように険の取れた表情が忘れがたい。

●本当にプレンティ?
 路上のホームレス、砂漠、ごみごみとした場末、などというように、この映画にプレンティなものは何一つ映っていない。で、何がプレンティなのかというと...
 ・この場に居る幸せを感じ取れたり(劇中、彼女は幾度も神に感謝する)、
 ・伝道所で彼女に用意された部屋が、みすぼらしくても、「ステキ。本当にステキな部屋」
  と感じ取れる心の豊かさであったり、
 ・精神の病んだ伯父さんの戦争ごっこに付き合ってあげたり、
 ・見ず知らずの中東人のホームレスの遺体をわざわざトロナ地方まで運んだり、
 ・まずいウォッカを美味しく飲んだりする、

精神の豊かさがプレンティなのかな、と思いました。

●耳をすませば
 ヴェンダースの狙いは観客を世界貿易センタービルの跡地に連れて行くことにあると思える。がしかし、単に反アメリカを唱えるだけの愚は避ける、と。トロナ地方の砂漠が、まるっきりそこがアメリカの国土内にあることを忘れさすように、中東の世界に似ていた。
 世界貿易センタービルの平べったい跡地と、トロナの地の平坦な砂地に設けられた中東人の墓場は、互いに照応し合っている。中東の砂漠地帯とニューヨークを地続きと捉え、国家だのイデオロギーだの宗教だの言う前に、両方の死者の声に耳を澄ましてみよう、と。
 日本で何不自由なしに生きている自分がこんなことを考えるのは、非常にマズイことで恥ずべきことだと思いますが・・・

テーマ:映画レビュー - ジャンル:映画

【2006/01/10 23:42 】 | ヨーロッパ映画 | トラックバック(1) | page top↑
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Lignpontoの映画鑑賞記「ランド・オブ・プレンティ」
みなさん、こんにちは。今日は、有楽町に映画を観に行って来ました。映画のタイトルは、「ランド・オブ・プレンティ」。この映画についての資料は、こちらのサイトをご覧下さい。http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD7819/index.html映画を観終った後で、この映 Hodiauxa Lignponto【2006/02/12 12:52】
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