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『必死剣鳥刺し』
本格派の時代劇を観て、震え上がりました。

hissiken.jpg1950~60年代に東映時代劇は全盛期を誇っておりました。当時は勧善懲悪のスタイルの時代劇が受けていたのでしょうが、ここ近年の時代劇では、武士社会に翻弄される男女を描くようになってきました。個人の運命がどうなるかということに、ドラマの焦点が当てられる傾向にあります。山田洋二監督の『たそがれ清兵衛』あたりから、最近の時代劇の方向性が定まってきたでしょうか。
 本当は農民の貧困、城主の後継者を巡る政治的問題、などといった規模の大きい問題が底辺にあると思いますが、『必死剣鳥刺し』は、敢えて豊川悦司の半径100m以内に起こる出来事のみを描くことに徹しています。
 城主(村上淳)の妾を殺害した罪により、豊川悦司は幽閉されるのですが、映画の前半はほとんど彼は動きを取りません。代わりに立ち上がってくるのが、豊川悦司に尽くす池脇千鶴の慎ましい魅力です。もうほとんどこの映画の前半部は池脇千鶴のためにあると言いたくなります。

 物語にリアリティを与えるのは、時として、さりげないセリフであることも多い。
 池脇千鶴が料理をしている場面。このとき奉公人の女性が発する「奥さんの味に似てきましたねぇ。」というセリフだけで、池脇千鶴の心情を察することができます。
ラスト近く、豊川悦司の身体の傍での「コトきれています。」というセリフも良かったですね。

 豊川悦司と吉川晃司の斬り合いは、恐るべき出来栄えでした。刀を構えた両者のジリジリとした間合いが、何と言っても素晴らしい。吉川晃司の刀に比べて、豊川悦司の構える刀がちょっと短めなのが、また緊張感をうみます。「映像のカリスマ」(黒沢清)に”カンフー映画に乗れなくて時代劇に乗れるのは、間合いがあるからだ”みたいなことが書かれていました。このことが良く分かる斬り合いの場面です。

 豊川悦司は”心独名流の剣の達人”という設定です。相手を突き刺す技が得意のようで、豊川悦司は映画の中で、合計4回だけ相手を刺します。うち一回は木の上に停まった鳥をからめとるというものです。関めぐみと吉川晃司を刀で刺すときは、”ブスっ”や”グサっ”、という感じではなく、”サッ”と突き刺すのです。まさに心臓を一突き、という手さばきは、達人という感じです。
 吉川晃司との後に続く、怒涛の斬り合いはさらに凄惨で凄かったです。土砂降りの雨の中で、斬り合いが展開されます。雨を降らせることによって、血塗れの凄惨さがちょっとだけ緩和されているようにも思います。雨がなかったら、もっと惨たらしい光景になるかもしれません。
最後の4回目の鳥刺しは、あぁやっぱりこうくるか、という感じで期待を裏切りません。

豊川悦司が城主の部屋に呼ばれた時、まず”はッ”と跪く豊川悦司を撮るだけで、城主(村上淳)を写しません。城主がどんな様子なのか、観客に分からないことがスリルを高めます。

テーマ:映画感想 - ジャンル:映画

【2010/08/11 15:00 】 | 日本映画 | コメント(0) | トラックバック(0) | page top↑
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