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『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』
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 先日、『ヒーロー・ネバーダイ』の感想を書いたので、ジョニー・トゥ監督の最新作『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』についても、忘れないうちに書いておきます。
 この映画を観た時、シネ・リーブル梅田の観客の年齢層は非常に高く、若者の姿があまり見当たらない状況でした。往年の香港映画ファンはどこに行ったのか?
 ジョニー・トゥ映画のように男くさい映画は、女性客が集まりにくいのかもしれません。やっぱ金城武やルイス・クーやアンディ・ラウが出演していないと、女性客は集まらないのだろうか?

 それはさておき『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』では、芸術の域に達したジョニー・トゥ美学が炸裂していて、ほぅ~っと唸りながら画面に魅入りました。
 月夜の闇に紛れた銃撃戦が素晴らしい。闇夜の中で、月光が殺し屋どもの姿を映し出して、銃撃戦が始る。枯葉をまるで雨のように見立てて、飛び散らせる場面はホントに凄いです。
 建物の非常階段を利用した、立体的な銃撃戦の空間処理などは、お見事です。その銃撃戦の傍らの表通りでは、普通に通行人が行き来しているというギャップもまた凄い。ここで雨が降るのですが、匿名性を帯びた通行人が刺している傘は、全て黒色で統一されている。ここまで様式美を統一するか、と思いました。
 ラストでフランシス・コステロが敵ボス(サイモン・ヤム)を追い詰める場面では、昼間から夜にいきなり変わった!

奇跡の逆転劇は起こらず

 しかし素晴らしいと思う反面、ジョニー・トゥ監督の様式美へのこだわりが、かえって映画の躍動感を奪っているような気も(贅沢なはなしですが)。アンソニー・ウォンやラム・シュやラム・カートンとの男同士の友情物語は素晴らしい。しかし、どうも中盤からラストにかけて、今までみられたジョニー・トゥ映画ならでは、の盛り上がりが弱いように思える。ココロオドルような展開にならないのは何故でしょうか。

 ジョニー・トゥ監督の映画を観るとき、私が興奮するのは、追い詰められた男たちが”奇跡の逆転勝利”を収めるときです。『ブレイキング・ニューズ』で、どうみても脱出不可能な状況に追い詰められたリッチー・レンが建物を爆破して屋外に逃げる。『柔道龍虎房』で落ちぶれた柔道家のルイス・クーが鍛え直してレオン・カーファイに勝利する。『ヒーロー・ネバーダイ』で下半身を失ったラウ・チンワンが拳銃を乱射してボスを撃ち殺す。・・・というように、ジョニー・トゥ映画の人物たちは、不可能と思われるようなことを最後にやってのけます。

 『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』ではゴミの投棄場所にて、凄まじい銃撃戦が行われます。サイモン・ヤムに追い詰められる3人の男たち。この状況からどうやって、奇跡の逆転劇に持ち込むのかと思いきや、そうはなりません。フランシス・コステロが復讐劇の後を引き継ぐことになりますが・・・、フランシス・コステロの追い詰められ方がどうも弱いように思えるのです。

 もっと彼が追い詰められないと、ラストの復讐劇が盛り上がらないのです。
彼の頭の中には戦時中に銃弾が撃ち込まれていて、復讐すべき相手の顔どころか、復讐の動機さえも忘れてしまうという。そんな設定要るか?、と思いました。復讐達成時のカタルシスを敢えて外すかのような作劇です。う~ん、ちょっとひねり過ぎじゃないでしょうか、と思いました。

テーマ:映画感想 - ジャンル:映画

【2010/07/02 22:29 】 | 香港映画 | コメント(0) | トラックバック(0) | page top↑
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