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『身分証明書』『不戦勝』イエジー・スコリモフスキ監督60年代傑作選
mibun イェジー・スコリモフスキ監督(舌噛みそうな名前)のデビュー作『身分証明書』と2作目の『不戦勝』をシネヌーヴォにて鑑賞。1960代に撮られた作品。館内は男性客がほとんど。同じ東欧の監督でもキエシロフスキのように、女性客にも好かれる映画監督、というわけではないらしい。

 イェジー・スコリモフスキ監督といえば『出発』や『シャウト』などが有名ですが、ポーランドにおいてもスタジオの外に飛び出したような、ヌーベルヴァーグのような作品を撮っていた時期があったとは知りませんでした。
 しかもスコリモフスキ自ら、アンジェイという主役の男性を演じているとは。
 ジャック・タチ、イーストウッド、シュトロハイム、グル・ダッド、北野武、勝新太郎、木村卓司などなど、自分で映画を監督しながら主役もこなす、という凄い人が世の中にいるものです。スコリモフスキもその系譜に属する監督とは知りませんでした。

『身分証明書』の冒頭、焚き火をする男の姿が、影絵のように拡大されてヌッと建物に映し出される様子などは観ていて微笑ましかったです。あのドラム缶の内側に、きっと照明が仕込んであるのだな。

それはそうと、両作品を観て感じたのは、
 ・手持ちカメラの長回しのスタイル。カットは意地でも割らない。
 ・カメラのフットワークが異常に軽い。
 ・ピアノやジャズの音楽が次から次へと映画のなかでかかる。
 ・多種多様な生活音が、過剰に満ち溢れている。
                                     ・・・・ということである。

 カツカツと階段を足早に降りる男の足音、工場の外で建築資材がガチャーンと音を立てて放り投げられる音、などなど、何かがぶつかる音、何かが擦れ合う音に画面が満ちています。

 びっくりした場面。
 2階の屋外テラスのようなところで昼食をしていたアンジェイ(スコリモフスキ)が、突如、席を立ち上がり、ダーっと階段を降りてサーっと道路を走りながら、交通事故の傍らを通り過ぎて、質屋にたどり着くまで、カメラが併走します。どうやって撮影したのでしょうか。この時代に、そんなに機動性のあるステディカムがあったのでしょうか?

husennsyo スコリモフスキの映画は男性が主人公なのですが、その彼の運命に加担する女性が存在します。『身分証明書』での女性は、アンジェイと口喧嘩してばかりで、まだ運命に加担する存在には至っていませんが、『不戦勝』のテレサには『出発』のカトリーヌ=イザベル・デュポールの原型が見られます。
『出発』のジャン=ピエール・レオーは女の子と共に最後まで行動し、結局カーレースには出場できません。対照的に『不戦勝』のアンジェイはテレサを置き去りにして、列車から飛び降りてボクシングの試合会場に駆けつけます。列車とバイクが併走する場面は素敵でした。常に電車の方にカメラが置かれるという。

 最後のどんでん返しにはびっくりしました。まさか映画のタイトルそのままに不戦勝になってしまうとは。
アンジェイは「ゴングの音色が俺を熱くさせる」とかなんとか言っていたのに、彼の熱い情熱は腕時計とラジオという物質的な価値に置き換えられるという。
 凄い肩透かしだ。キョトンと立ち尽くすアンジェイの所在無げな姿が忘れ難い。ラストでドミノ倒しのように客席の長イスを倒しながら、地面に打ちつけられる様子も素敵だ。

 あ~、『バリエラ』と『手を挙げろ!』を観るのが今から楽しみになってきました。

テーマ:映画感想 - ジャンル:映画

【2010/06/29 22:43 】 | ヨーロッパ映画 | コメント(0) | トラックバック(0) | page top↑
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