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『アウトレイジ』
outrage ファーストシーンで黒ずくめの男たちをカメラが横移動でなめてゆく。あぁっ、何かが始りそう、というワクワクしそうな予感が高まる。そして(國村隼)と大友(ビートたけし)を乗せた車が、集団から少し遅れて道路の向こう側から現れる呼吸など、間の取り方は相変わらず上手いと思う。
道端での麻薬の取引の現場をロングショットでじっくり見せる。或いはトイレで射殺の任務を遂行し終えたスーツ姿の殺し屋が、高いところから降りて革靴を履く場面でじっくりと靴下を捉える、など、いつも通り、間合いをしっかり取って映像を組み立てようとしている。

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ところで『アウトレイジ』は暴力描写が凄惨極まりないという前評判であったが、ちっとも、そうは感じられない。
北野監督の初期作品で見られた生々しい暴力は消失し、代わりにスプラッタ描写が全面に押し出されることになる。この暴力描写はちょっと作り過ぎではないか、と思えるようになってきた。この傾向は『Brother』あたりから顕著になってきたように感じる。

『アウトレイジ』の暴力描写は、血しぶきが派手に飛び散っているだけのことであり、暴力の本質には迫っていない。見え透いた暴力描写である。ちぎれる指先、噛み切られる舌、耳に刺さる菜箸、などの暴力描写が全て”作り物”にしか見えない。
 いや、暴力をあえて作り物の見世物にしているように思えた。暴力描写・人体破壊描写を笑いに転化することはできるか?ーーーそれが本作のテーマとみた。
”お笑い暴力映画”というか”スプラッタ・コメディ”みたいな、得体の知れない領域に突き進もうとしている。そんな悪趣味な、と思われるでしょう(特に女性客はついていけないでしょう・・・)。

 がしかし、アウトレイジ』の笑いの呼吸は実際素晴らしい。
カッターナイフで指が詰められるか?と木村(中野英雄)が敵ヤクザにあおられる⇒木村は「やってやらぁ!!」意地になってカッターナイフで指を詰めようとする⇒しかしやっぱり無理なものは無理。出来るか~!!・・・という呼吸は観ていてホントにおかしい。本人は必死なんだから、笑っちゃいけない、と思いながらも笑ってしまう。

『アウトレイジ』でヤクザを演じる役者達が”スプラッタ暴力”に励む様子が、実に生き生きとしているように見える。浴室にヘビを閉じ込めるとか、ささいな悪事に励む彼らは実に楽しそうだ。
 取調室で大友(ビートたけし)に対して、刑事(小日向文世)が大きな態度をとる。がしかし同僚が部屋から出て行ったら、あっというまにビートたけしの逆襲に合う展開なども素晴らしい。

 極めつけは、あの妙な外国人は何だ? いくらなんでも、あんないい加減な大使は実在しないでしょう。死体を乗せた車が検問に引っかかったとき、石原(加瀬亮)が流暢な英語で返答しようとしているのに、隣で「モウイイデショ」と日本語で答えた時は、本当に笑った。
 『お~い、みんなやってるか』『監督ばんざい』のようにコメディの体裁をとった映画にも関わらず、笑いが高らかに炸裂することはなく、どちらかというと殺伐とした笑い、スカした笑い、乾いた笑いを醸し出していた。映画の体裁を暴力映画としたとき、笑いが弾けるとは、逆説的で興味深い。

テーマ:映画感想 - ジャンル:映画

【2010/06/21 23:36 】 | 日本映画 | コメント(0) | トラックバック(0) | page top↑
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