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『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』石井輝男
kikei1.jpgこの土日の大阪のシネ・ヌーヴォでの石井輝男特集は、御客さんの入りはかなりのもので、40~50人は各回入っていました。ちょっと意外ですが、結構な人気です。
『恐怖奇形人間』を数年ぶりに観ました。二回目です。8年前に観たときは笑いながら観ました。
しかし今回はしんみりと観ました。悲劇の親子の物語でした。客席から笑いは起きませんでした。(ちょっとクスクスしていた人も居たようですが。)どんな娯楽映画でも、きっちりとスクリーンと向き合うという。シネ・ヌーヴォの観客の皆さまは立派です。

改めて『恐怖奇形人間』を見直してみると、優れたミステリー映画かつ怪奇映画に思えました。マリオ・バーバみたいなヨーロッパの怪奇映画と互角に張り合えるだけ内容は持っていると思います。

■施錠が甘い
映画は吉田輝雄が地獄巡りをするお話しです。前半の精神病棟、中盤のお屋敷、後半の孤島、とそれぞれお化け屋敷みたいなところを吉田輝男が巡ります。
どの建物も扉の施錠がユルユルであり、吉田輝雄は軽々と建物を気安く抜け出ることができます。精神病棟の鍵もちゃんとかかっていないという。能登半島の財閥の御屋敷も、相当に施錠の甘いところで、不審者がたやすく出入り自由です。

■御屋敷の空間把握が凄い
前半のミステリー調で進められる画作りは見ごたえがありました。 吉田輝雄が双子の兄と入れ替わって、能登半島の屋敷に住み始めます。この屋敷の造形が素晴らしいです(セットではなく、実際の豪邸だそうですが)。フッとカメラを真上に向けたら、重層的な天井が広がっているという空間密度が素晴らしいです。
その反面、最後の孤島の造形はちょっと散漫な印象かしら。孤島といっても、岸壁しか印象に残らないかも・・・。暗黒舞踏塾が頑張って踊り狂っているのですが(岸壁で踊る土方巽!)、この孤島のどこに莫大な費用がかかっているのか、良く分かりません。ここで凄い孤島の造形が凄かったら、もう言うことなしなのですが。予算の限界なのでしょう。

■吉田輝雄が凄い
で、映画は吉田輝雄の一人称映画のスタイルをとるのですが、吉田輝雄の不思議な存在感が際立ちます。「どうゆうことなんだ?何故だ?」と、随所に彼の独白が入りながら映画が進行してゆきます。不思議なことに、あれだけ多弁に語っているのにも関わらず、吉田輝雄の内面がちっとも観客に伝わってこないように思う。色々と悩んでいるようだけど、吉田輝雄が何を考えているのか良く分からない人なのです。
それでいて、どんなことにもへこたれない一本芯の通った頼もしさ、みたいなものは吉田輝雄から感じられます。でもやっぱり不思議な存在感です。変装したり、「危うく大失敗するところだった」、と慣れない左利きで頑張って御飯を食べてみたり、小ネタをはさんでくるのですが、まぁ吉田輝雄ならありかも、と思わせるものがあります。

吉田輝雄は実の妹の秀子(由美てる子)と愛し合うことになるのですが、二人の間に愛の言葉は囁かれることも無く、何かいきなりねんごろになっているという。ここも変な感じでしたね。

ラストの花火は圧巻です。明智小五郎(ガシっとした顔立ちの大木実が演じる!)が、フと空を見上げると、いきなり花火が上空に打ちあがる。男女が互いの身体を花火に括りつけて導火線に火を点ける、という作業工程を一切すっ飛ばして、空を見上げたらもう男女の身体が爆発するという、うむを言わさぬ省略の仕方・飛躍の仕方が爽快です。

    おかあさーん!
    kikei2.jpg
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【2010/08/29 00:10 】 | 日本映画 | コメント(2) | トラックバック(0) | page top↑
『映画の紙礫』Vol.5 世に出回る
関西圏の映画ファンが集まって、映画の感想などを書いている『映画の紙礫』というフリーペーパーがあります。シネヌーヴォやplanetoシアターなどのミニシアターのチラシ置き場に置いてあります。私もちょっと書いています。
先日、『映画の紙礫』Vol.5の用紙を80枚だけもらってきました。
内容については、今月の大阪シネ・ヌーヴォでの石井輝男特集に併せたものだ。
孤独と闘いながら、80枚を30分かけてを一気に折ったぞ。↓↓
kamitubu1.jpg
よーし組み立てよう、と思ったら折る方向が逆なことに気付く。泣きそうになる。『路傍の石』(久松静治)の一場面にこれと似た場面があったような。気を取り直して、折り直す。組み立てて20部が出来上がる。↓↓
kamitubu2.jpg
神戸映画資料館に6部だけ置いてみる。どれだけ捌けるかな?
↓↓↓↓
kamitubu3.jpg
大阪のシネ・ヌーヴォに行ったら、もっと沢山おいてあります。なくならないうちに持っていってね。

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【2010/08/27 21:37 】 | 日記 | コメント(0) | トラックバック(0) | page top↑
『メーヌ・オセアン』ジャック・ロジェ監督
menu_01.jpgKAVCでのジャック・ロジェ監督上映にて鑑賞。実はシネ・ヌーヴォでも鑑賞済み。
今年最大の衝撃はジャック・ロジェでありました。合計3回も観てしまった。何度見ても面白い。ゴダールやトリュフォーとは全然違う。こういう映画がヌーヴェルヴァーグに存在していたことを今まで知らなかっただけなのですが。『オルエットの方へ』や『アデュー・フィリピーヌ』も勿論凄いのですが『メーヌ・オセアン』はさらに熟練度が増していました。
ジャック・ロジェの面白さは何か?他の何にも似ていない映画なので、比較しようがありません。最初に観始めて数十分立った時点では、カサヴェティスみたいな感じな? 或いは初期のヴェンダースのロードムービーみたいな感じかな?と思いながら観ていたのですが、物語が進むにつれて様相が全然違ってきた。

以降、『メーヌ・オセアン』の凄さについて、書き散らかしています。
お暇でしたら、”続きを読む”をクリックしてお読みください。『メーヌ・オセアン』の即興的な演出を真似て、徒然なるままに書いてみたのですが・・・
出来上がったものをみたら、ダラダラとして読みにくいだけの文章ではないですか。私は自信を無くしました。全然駄目だ。あぅぅ~。
続きを読む >>

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【2010/08/16 00:48 】 | ヨーロッパ映画 | コメント(0) | トラックバック(2) | page top↑
『バルドー/ゴダール』『パパラッツィ』ジャック・ロジェ監督
bb.jpgKAVCでのジャック・ロジェ監督上映にて鑑賞。
ゴダール監督の『軽蔑』の撮影風景を記録したドキュメンタリー、と思いきや、映画が進行するにつれちょっとづつ、何かがズれてゆく感じがした。
第一部の『バルドー/ゴダール』ではどちらかというと、引きの画が多くて遠慮気味で、映画の撮影の様子が淡々と綴られる。映画の現場では予定変更、ということがよく起こるのね、ということが分かるので興味深いが、全体の紹介みたいな感じで、そう盛り上がってこないように思う。

第二部の『パパラッツィ』では、カメラがゴダールやラングに寄ってゆく。ブリジット・バルドーのアップショットまである。
さらには”BB”の文字が画面にちらついたり、ブリジット・バルドーの写真が高速でモンタージュされたり、音楽がぶつ切りになったりする。ジャック・ロジェにしてはサービス精神旺盛な編集だ。よーし、ゴダール映画のドキュメンタリーなのだから、ゴダールみたいな演出をしてしまおう!、みたいな勢いを感じる。

ブリジット・バルドーを撮るため、岸壁や草むらにパパラッツィが隠れている。彼らはカメラを突き出して、じっとこちらの様子を伺っている。まるで狙撃兵のようだ。
不思議なのはパパラッツィ達が、この映画の製作に対して、妙に協力的でな態度をとることだ。ちょっと馴れ馴れしいようにも感じる。
パパラッツィがカメラを構えて被写体を狙っている様子を、映画のカメラにパパラッツィの背後から撮ることもさせている。
さらにインタビューに応じて「私は○○社の○○という者だ」と、名乗りだしたりする。屈託の無いカメラマン達は、『ブルージーンズ』や『アデューフィリピーヌ』に出てくる、節操のない若者達の姿に重なるように思えた。
映画のドキュメンタリーと言いつつ、ジャック・ロジェの関心はパパラッツィの素顔に向けられてゆくところが面白い。

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【2010/08/15 22:43 】 | ヨーロッパ映画 | コメント(0) | トラックバック(0) | page top↑
甲子園球場に行ってみた。
私は、阪神甲子園球場まで電車で20分の場所に住んでいます。
なのに今まで甲子園球場に行ったことがありませんでした。が、どうも最近気になる存在になってきました。大阪のシネヌーヴォに阪神難波線を利用して行くことが多いですが、途中で”甲子園駅”に停車したとき電車の窓の外に見える甲子園球場のたたずまいが気になっておりました。プロ野球の試合があるときなどは、大勢の阪神ファンが電車に乗りこんできたりもします。

昨日の金曜日ついに、意を決して、生まれて初めて甲子園球場に行ってきました。高校野球の開催期間です。
 entrance.jpg

まずは甲子園ラーメンにて煮干ラーメンを食べました。なかなかのお味。↓↓
ra-men.jpg

外野席のスタンドに入って場内をウロウロとしてみた。高校野球開催中は外野席が全て無料で開放されていると初めて知りました。どうりで満員になるはずだ。
外野席からみたグラウンドの様子。↓↓
test

一塁側のアルプススタンドに入ってみる。入場料500円。球場内で売られているビールが一杯600円。おぉ入場料よりビール代の方が高いとは。
一塁側アルプス席から観た様子。↓↓
alps.jpg

スコアボード。まぢかで見ると、ドでかい建築物だ↓↓
score.jpg

照明に灯が入ると美しい。↓↓
light.jpg

いやぁ想像以上に良かったです、甲子園球場。なんせデカイ!広い!深い!こんなにも大きくて、だだっ広い建築物はその場に居るだけで壮観です。いつもサンテレビで観ているのと、実物とでは全然違いました。TV画面で見るのとはやっぱ違うな。映画をTVで観るのと映画館で観るのとは、全然違いますものね。
野球場という場所がが、こんなにも喜怒哀楽の表情を持っているとは知りませんでした。ひとつひとつのプレーに、あぁ~、とか、わぁ~とかどよめきや歓声が起きる。球場一体となって、四方八方から歓声に包まれている感じがします。また来ようっと。
【2010/08/14 21:59 】 | 日記 | コメント(0) | トラックバック(0) | page top↑
夏休みのシネコンは大混雑だ!
hitogomi.jpg
神戸のOSミント神戸に行きました。押し合いへし合いのエラい混雑ぶりでした。
夏休みのシネコンって、こんなに人が込み合うものなのか・・・知らなかった。
毎年、この時期は大阪のシネ・ヌーヴォかplanetに映画を観に行ってますの世間の動向を知りませんでした。
1人の映画ファンが1年間で1000本の映画を映画館で観るよりも、
1000人の人が月に1~2回だけ映画館で映画を観る方が、映画産業にとっては健康的というものだ。
連休だけあって家族連れが多いですね。
皆様方、『トイ・ストーリー3』『劇場版ポケットモンスター』『ヒックとドラゴン日本語吹き替え版 』がお目当てなのでしょうか。
あぁ、これだけ大勢の人が来るのだから、この中のうちのちょっとでも、『ローラーガールズダイヤリー』や『座頭市 THE LAST』を観よう、という気になって下さらないものだろうか。

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【2010/08/13 22:50 】 | 日記 | コメント(0) | トラックバック(0) | page top↑
『必死剣鳥刺し』
本格派の時代劇を観て、震え上がりました。

hissiken.jpg1950~60年代に東映時代劇は全盛期を誇っておりました。当時は勧善懲悪のスタイルの時代劇が受けていたのでしょうが、ここ近年の時代劇では、武士社会に翻弄される男女を描くようになってきました。個人の運命がどうなるかということに、ドラマの焦点が当てられる傾向にあります。山田洋二監督の『たそがれ清兵衛』あたりから、最近の時代劇の方向性が定まってきたでしょうか。
 本当は農民の貧困、城主の後継者を巡る政治的問題、などといった規模の大きい問題が底辺にあると思いますが、『必死剣鳥刺し』は、敢えて豊川悦司の半径100m以内に起こる出来事のみを描くことに徹しています。
 城主(村上淳)の妾を殺害した罪により、豊川悦司は幽閉されるのですが、映画の前半はほとんど彼は動きを取りません。代わりに立ち上がってくるのが、豊川悦司に尽くす池脇千鶴の慎ましい魅力です。もうほとんどこの映画の前半部は池脇千鶴のためにあると言いたくなります。

 物語にリアリティを与えるのは、時として、さりげないセリフであることも多い。
 池脇千鶴が料理をしている場面。このとき奉公人の女性が発する「奥さんの味に似てきましたねぇ。」というセリフだけで、池脇千鶴の心情を察することができます。
ラスト近く、豊川悦司の身体の傍での「コトきれています。」というセリフも良かったですね。

 豊川悦司と吉川晃司の斬り合いは、恐るべき出来栄えでした。刀を構えた両者のジリジリとした間合いが、何と言っても素晴らしい。吉川晃司の刀に比べて、豊川悦司の構える刀がちょっと短めなのが、また緊張感をうみます。「映像のカリスマ」(黒沢清)に”カンフー映画に乗れなくて時代劇に乗れるのは、間合いがあるからだ”みたいなことが書かれていました。このことが良く分かる斬り合いの場面です。

 豊川悦司は”心独名流の剣の達人”という設定です。相手を突き刺す技が得意のようで、豊川悦司は映画の中で、合計4回だけ相手を刺します。うち一回は木の上に停まった鳥をからめとるというものです。関めぐみと吉川晃司を刀で刺すときは、”ブスっ”や”グサっ”、という感じではなく、”サッ”と突き刺すのです。まさに心臓を一突き、という手さばきは、達人という感じです。
 吉川晃司との後に続く、怒涛の斬り合いはさらに凄惨で凄かったです。土砂降りの雨の中で、斬り合いが展開されます。雨を降らせることによって、血塗れの凄惨さがちょっとだけ緩和されているようにも思います。雨がなかったら、もっと惨たらしい光景になるかもしれません。
最後の4回目の鳥刺しは、あぁやっぱりこうくるか、という感じで期待を裏切りません。

豊川悦司が城主の部屋に呼ばれた時、まず”はッ”と跪く豊川悦司を撮るだけで、城主(村上淳)を写しません。城主がどんな様子なのか、観客に分からないことがスリルを高めます。

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【2010/08/11 15:00 】 | 日本映画 | コメント(0) | トラックバック(0) | page top↑
『プレイタイム』 ジャック・タチ監督
play.jpg巨匠と認知される映画監督は、理想を追い求めるために、費用と時間を目いっぱいかけて、究極の映画を作ることがあるらしい。黒沢明の『影武者』とかコッポラの『地獄の黙示録』とか。『プレイタイム』もしかりで、ジャック・タチ監督が広大なセットのビル(タチ・ビルと言うらしい)を建設したりして、壮大なスケールの映画だ。

ですが壮大な割には、映画の前半は非常に窮屈な印象を受ける。前半の舞台も、飛行場や会社のビル内部で展開されるが、その画調もネズミ色にくすんだ色彩で統一されていて、非常に重苦しい感じを受ける。アメリカ人観光客の女の子のバーバラもネズミ色のコートを着たままだ。

すみません。書いているうちに熱が入ってきて、凄く長ったらしい文章になってしまいました。読みたい御方だけ、以下の”続きを読む”クリックしてください。
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【2010/08/10 00:38 】 | ヨーロッパ映画 | コメント(0) | トラックバック(2) | page top↑
『のんき大将』
nonki02_2.jpgKAVCでのジャック・タチ特集にて『のんき大将』を久しぶりに鑑賞。
カラー復元版のことを『新・のんき大将』として90年代に公開されていたような。
確か以前にモノクロ版の『のんき大将』をどこかでみたような気もする。また一部着色されたモノクロバージョンも観たような・・・10年近く前のことなのでよく覚えていません。ビデオで観たのだったかな?

それはともかく、カラー復元版の『のんき大将』の画質は、私には正直あまり美しいとは感じられない。ちょっとピントがぼけたような、ちょっと明度が高すぎるようなカラー画質です。特に前半は美しくない。

がしかし、酔いつぶれたジャック・タチが、夜道で自転車を走らせようとする場面に、どういうわけか、いつも私は感動してしまう。にごった群青色の画質は決して美しくはないが心が惹かれる。人物と風景が溶け込んで混ざってしまったような感覚になるのです。フクロウの鳴く声がことさら強調される。完全にジャック・タチは一人ぼっちである。孤独感が高まる。さっきまでのサーカスの狂騒はどこへいったのだ?

サーカスの見せ物小屋で、アメリカの郵便局員のニュース映像が上映されている場面から、加速度的に映画が面白くなっていきます。ボディビルコンテストとかサーカスの映像とか、郵便局員に全く関係ない映像を織り交ぜて、”アメリカの郵便局員は凄い”と見せきってしまうのが凄いです。本当にアメリカ人が出演しているのかも怪しいという、愛すべき場面です。

翌日、一念発起したジャック・タチおじさんが自転車で飛び回りますが、このあたりの演出は『郵便配達の学校』の延長上にあります。凄く似ている映像なのですが、良く見ると細部が違います。最も感動的な違いは、トラックの後部を机代わりにして、ジャック・タチが封筒にスタンプを押す場面です。『郵便配達の学校』では、作業に精を出すタチおじさんを正面から捉えた映像の背景がスクリーンプロセスの合成なのですが、『のんき大将』ではきっちりと実景なのですよ。合成なしに実際に走るトラックでスタンプを押しているのですよ。

『のんき大将』が撮られたのは1949年のこと。戦争が終わって4年しか経っていないはずなのですが、フランスの田舎が本当にのどかで、ユートピアの世界に居るようにも感じられてきます。

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【2010/08/09 21:47 】 | ヨーロッパ映画 | コメント(0) | トラックバック(1) | page top↑
元町映画館こけら落とし。『要塞』を鑑賞
motomachi.jpg
元町映画館のこけら落とし。10:30の回に駆け付ける。
35mmフィルムで『要塞』(フェルナンド・メルガー監督)を鑑賞。
映画館の音響設備がなかなか素晴らしくて、びっくりしました。前方と側面から立体的に音が響いてくる感じでした。ちょっと天井が低いですけど、映像もキレイに映っておりました。

朝10時からの上映にも関わらず、お客さんはかなり入っていました。40~50人というところでしょうか。注目の高さが伺えます。
客層は御年輩の方がやや多めでしたでしょうか。商店街に来る地元の人達に立ち寄ってもらえているのかもしれません。戦略としてもそうなのでしょう。

『要塞』の映画の内容よりも、客席の反応が気になる。
普段あまり映画を観ない、おじさん、おばさん達はドキュメンタリー映画を観て面食らったりはしていないだろうか?、寝てやしないだろうか?・・・などとつい気になってしまう。皆さん、真面目に鑑賞されていたように思います。

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yousai.jpg『要塞』はスイスでの難民受け入れ施設に詰めかける人々の物語です。亡命を希望する人々が、当局の決定を待つ間、一時的に収容施設に入れられます。
難民の申請をした人と、面接官の対話によって映画が組み立てられてゆきます。
劇中人物はカメラを意識した表情をしていません。どうやって35mmのカメラでああいう映像が撮れたのでしょうか。照明や録音はどうやったのか。デジタルで撮ってフィルムに落としたのか?・・・良く知りません。
スイスの山間部に舞い散る粉雪は美しく撮られていました。

映画が始まって最初の30分くらいまでは、色々な人が立ち替わり登場してきて、せわしない感じです。観てる我々も時間感覚がおかしくなってきて、映画の中では何日目のことが描かれているのかも判然とせず、現在が昼なのか夜なのかの時間帯も良く分からない状態で、混沌としているように思えました。

う~ん、そうだなぁ。
どの場面がとっかかりとなって、映画に入りこめていけたかな?
トーゴ(鞭打ちの国だそうな)から来た難民の黒人男性が、洗面所の蛇口をリズミカルに拭いている年配の男性に対して「兄弟!」と呼びかけ、職探しの話を始める場面。この場面。これ以降、ちょっと映画の速度が緩やかになって、登場人物の”顔”が見えるようになってきました。

『要塞』を観てると、もうどこからがドキュメンタリー、どこからが演出なのか、よく分かりません。そういうことを厳密に考えても仕方ありません。
「あなたのために神に祈りましょう」と面接官が言いだします。二人が祈りだしたら、奥の方から男の子が部屋に入ってきて、祈る両者をじーッと見つめている場面とか、本当に面白いです。
あと抜群のタイミングで、センター長の腕の中で、おもらしをする赤ちゃんも凄かった。
こういう画が撮れて、メルガー監督は”よし、しめた!”と内心思っているんじゃないかな(多分、想像ですが)。

センター長の白人男性が、施設の一室で行われるミサに顔を出すときの場面は、最高でした。部屋の中では、想像以上に激しく感情をむき出しにしたミサが行われていて、センター長のキョトンとした顔がアップで撮られます。”ここでアップ下さい”みたいな。
このミサというのも、政治的なアジテーションなのか、歌と踊りで発散する場なのか、良く分からないのですが、すかさずカメラは施設の外に出て部屋の一室の引き画を撮ります。

のっぴきならない大変な困窮状況で、申請をする難民の人達がいます。
その一方で、面接を何とかしてくぐり抜けてやろう、と考える人たちも居ます。自国の悲惨な状況を延々と説明するのは良いのですが、面接官に「あなたは麻薬の密売業者でしょう。」と言われてしまう男性。
また別の男性は「内戦のとき、足に銃弾を受けた」と傷を見せながら、自らの過去を冒険談風に語り出しますが、面接官に「自らのリアル体験が話に不足している。よそから聞いてきた話だ」と見抜かれてしまいます。

メルガー監督の関心は、面接官と難民申請者の駆け引きにも目が向けられているように、どうも思えます。
反面、黒人達が差別をうける理由について語り合っている場面や、イラクのテロについて語るうちに熱くなってしまう若者を描く場面では、どうもありきたりというか、引いているというか、ボルテージがあまり上がってこないように思えてきまし。

煮ても焼いても食えないようなタフな難民者と面接官の攻防、およびその攻防に手を焼く面接官の逡巡、など多角的に描かれているように思いました。
駅のホームまで、一人トコトコ歩いて行って、サンタクロースの衣装を身につけるセンター長の後ろ姿に、メルガー監督の視線は寄り添っているように思えました。

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【2010/08/01 22:34 】 | 元町映画館 | コメント(0) | トラックバック(0) | page top↑
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