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『それでもボクはやってない』
soredemo.jpg パロディアス・ユニティ周辺の作品では、黒沢清、高橋洋、塩田明彦、青山真治にもっぱら僕の興味は集中してきており、周防正行監督の映画はちゃんと観てこなかった。傑作とも聞く『シコ踏んじゃった』すら観ていない。『変態家族 兄貴の嫁さん』も未見。ウェルメイドな映画を撮る監督さんなのかな、程度の認識でしかなかったので、あまり多くは語れない。
 小津安二郎の影響を受けている聞いたような気もする。TVで放映される『Shall We Dance』を見たことがある。無人ショットが多く出てくるので、なるほどこれはピローショットだ、などと一人合点しておりました。ストーリー運びが良質なアメリカ映画的にも似ているかな、などとも勝手に思っておりました。
 そんなわけで周防映画を劇場で鑑賞するのは初めてだったが、『それでもボクはやってない』は迫り来るリアリズムの連打の凄い映画だった。もはや蓮實的なものは画面のどこを見ても写っておらず、映画マニア的な感傷に浸る余裕は残されていない。
 逮捕、訴訟、裁判へと至る過程が緻密なセットや小道具で描写される。
 とはいえ役者陣は馴染みの顔ぶれが揃っているのでドキュメンタリー的な感覚はしない。おそらく周防正行の狙いは、痴漢冤罪事件の解釈でもなく再現でもなく、もう一度、冤罪事件の裁判を観客の目の前で起こすことにある。勇気が要り、かつ恐ろしい企てだ。
 法廷場面での被害者女子学生と加瀬亮をひとつのフレーム内に収めきってしまう驚愕のショット、再現VTR撮影中での加瀬亮の肘がガラスに”ゴツン”と当たる音声描写。小津的でもアメリカ映画的でもないが、周防監督の鋭い映画演出は存分に発揮されていることも見逃してはならない。
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テーマ:映画レビュー - ジャンル:映画

【2007/02/18 23:56 】 | 日本映画 | コメント(0) | トラックバック(9) | page top↑
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